考案者Kさんと共に実際に使うシーンをシュミレーション。設計・試作・試用・評価を繰り返しながらプロジェクトを進めました。
気軽に使えるトイレ
「おむつ」「失禁パンツ」「チョイ漏れパッド」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
- 今日は仕事が忙しくてトイレに行く時間がもったいないから「おむつ」を使おう!
- 隣にポータブルトイレを置いとこう!
と考えるのでしょうか。
いいぇ、やむをえず「おむつ」「排泄用具」を使っているのではないでしょうか。誰もが気軽に明るく手軽にそして堂々と使えるトイレ。このコンセプトにたどりついてからは開発スピードがあがり、疾風の如く製品に向けて進んでいきました。
材質へのこだわり
医療グレードの抗菌シリコン
採尿部分の受尿器(レシーバー)は、デリケートな陰部に直接触れます。
だから受尿器に必要とされる条件は、装着による肌へのストレス低減、スキントラブルのリスクを低減、快適保持。
すなわち、形状はもちろんのこと、材質や質感も大切ということ。
その最適解を見つけるために、マヨネーズチューブと同じ材質のポリエチレン(PE)はじめプラスチック(ABS)、塩化ビニル(PVC)はじめ様々な材質で試作そして装着によるストレス試験を行いました。
こうしてこだわり続け、たどりついた材料が医療グレードの抗菌シリコンでした。
「Mr.ユリナー」のレシーバー
シリコンの特徴
シリコンの耐用年数は10~13年といわれ、耐久性・耐熱・耐寒性に優れ-50度~280度の温度条件で使用できます。無毒かつ科学的に安定した物質であるため、工業用途から食品分野、医療分野まで幅広く使用されています。「Mr.ユリナー」で使用している医療グレードのシリコンは有機的可塑剤がほとんど含まれておらず生体適合性に優れています。
硬くもなく柔らかすぎず。人肌への相性を重視したソフトでサラサラしたシリコン製の受尿器を体感してください。 ※表面はサラサラ加工をしています。
デザイン・仕様に関して工夫した点
排泄は恥ずかしいことでない
そもそも、排泄は生きていく上で必要不可欠。尊厳に関わるデリケートなことですが、自然な生理現象であって、格好悪いことでも恥ずかしいことでもない。生まれた赤ちゃんは基本的におむつに排泄。そして物心がつき排泄の自立をしている頃には、おむつを卒業してトイレで排泄。そのトイレは誰にも見られない1人の環境。脱ぎ方や出す姿勢そして清拭の仕方まで全てにおいて、誰かと比べるわけでもなく、何が正しいかもなく自由に、そして気持ちよく排泄する。これがあたりまえの実情。
「おむつ」に排泄したいと望むのか
それがいつの日か支援を受け「おむつ」を強いられる生活に逆戻り。誰が好んで「おむつ」に排泄したいと思うのだろうか。本当は、いつものように綺麗なトイレでゆっくりと、そして気持ちよく排泄したいと思っているに違いない。いつも清潔でいたいと思うのは私だけではない。やっぱりトイレが好きである。
トイレで排泄したい!
Mr.ユリナーは「トイレ」
Kさんも同じ。どうしても、いつまでも「トイレ」に排泄したいと強く思い、いつでもどこでもできる「トイレ」を考案したという。
- 俺も「おむつ」をするようになった
- 「シモの世話」をしてもらうようになったら情けない、もうおしまい
と聞かれるように、排泄は尊厳や自尊心に深くかかわるデリケートなことであり、いつも過ごしていたトイレの時間はできる限り失いたくない。
排泄こそ誰にも言えず、相談できずに悩みを抱える方の理由も理解ができる。
排泄は「汚い・臭い・暗い」3Kのイメージを払拭したい
排泄の分野へ参入すると決め、開発者の思いや排泄に対する考え方を聞いているうちに、介護はじめトイレに関して様々なことを感じるようになりました。
- 食べることは、今日は何食べようかと迷うほど情報があるのに、出すことには情報が少ないのだろうか
- ドラッグストアやホームセンター売り場は、どうしておむつばかり並んでいるのか
- 出すことの選択肢がもっとあってもいいのではないか
- 「漏れたらおむつ」の言葉はどこから来たのか
- 排泄のイメージはどうして暗いのか
など。
パッケージまでこだわる排泄用具
こういった事を感じるうちに、トイレ・排泄のイメージを少しでも払拭したいと思いがつのる。気軽に使えて明るく楽しくなるイメージにしようということで、専門デザイナーへ依頼。今までの排泄に対する恥ずかしさや暗いといったイメージを払拭するため、排泄用具でここまでこだわったデザインは無いだろうというくらいのこだわりをもち、新規参入の強みを活かし全く違った視点で商品のカラーリングそしてパッケージをデザインした。
Mr.ユリナー(ミスターユリナー)の語源
「Mr.ユリナー」は男性用のトイレ。
Mr.=男性
英語のユリナルurinal(小便器、小便所)をかけあわせ、「Mr.ユリナー」が誕生しました。人の名前のようで、お出かけの友にもうひとりの相棒が増えたような感覚です。
完成までの3年間を振り返って最も大変だったことは?
レシーバー(受尿器)の形状の開発・設計
肌に直接触れて、装着する。はじめての設計。
新規参入のうえ、ノウハウも無し。
どこを探しても、最適な形状のデーターや情報がどこにも無い。
付け心地を左右する一番重要なところの最適形状を見つけ出すことに最も時間を費やす。何種類もの形状をつくっては、何人もの方にお願いし、試しにいれていただく。途方も無く繰り返し繰り返す。その結果、いまの形状にたどりつきました。
めざしたのは、「気にならない」「圧迫感ない」「気持ちいい排尿感」いつものトイレで、いつものように自然におしっこする感覚がほしい。こうして世界に一つだけのレシーバーが誕生しました。
これからの展望|Mr.ユリナー開発者インタビュー
ご愛用者からの感謝のお言葉が支えに
普段は「おむつ」を着けて排泄は介助が必要な車椅子に乗った障がい者の方が就職活動をしていたけれども希望先ではどこも「排泄は自立していることが条件」で今のおむつ交換介助では就職先が見つからず。しかし、トイレの介助が不要となる「Mr.ユリナー」を使うことで排泄の自立をして就職できたというユーザー様。
排泄自立し、就職できたユーザー様
身体は元気、トイレが近いだけで嫌々おむつを使い、自信を無くされていた方が、排尿の悩みを解決し普通の生活に戻れたというユーザー様。
「脱おむつ」を叶えたユーザー様
前立腺がんの手術後の「尿漏れ」「頻尿」に悩みを解決した方からの嬉しい手紙。
前立腺がん手術後遺症の尿もれ
改良点を教えていただいたり、改良の試作品を、わざわざ送っていただいたり。皆様の生の声をお聞きしながら、ユーザーと共に進化を遂げ成長してきました。
自宅訪問させていただいた方から何度もお聞きした
やっぱり「トイレでおしっこしたい」
「Mr.ユリナーはトイレだ」おむつからユリナーに切り替えたばかりの、慣れないうちは失敗してもあきらめず「やっぱりユリナートイレでおしっこしたい」
「おむつ」に戻りたくない
といったユリナートイレを使いたいというニーズ。
こういったユーザー様からの暖かい支えは、「Mr.ユリナー」を世に送り出した社会的存在意義を実感する瞬間であります。
忘れないし、忘れてはいけません。
ユーザーニーズから排泄ケアのイノベーション
お客様の生の声を大切に
排泄にかかわるメーカーとして、お客様の生の声を大切にする。
全ての答えは現場にあり、ユーザーにある。
そして、ひとを思うものづくり精神を持ち続ける。
Mr.ユリナー、兄弟分のダンディユリナーはじめ、世界に一つだけとなる様々なジャンルの排泄用具を今後も継続して開発していきたいと強く思っています。
誰もが生活に欠かせない排泄。美味しく食べて、気持ちよく出すために。
「Mr.ユリナー」は、立位・座位で使用できます
「ダンディユリナー」は、臥位(寝た姿勢)で使用できます