信頼の『日本流』か、納得の『米国流』か。自分らしい治療の選択
診断から治療方針決定まで日本とアメリカとの違い

この記事の目次

お国柄でこんなに違う!?前立腺がん治療の向き合いかた

1. 診断から治療方針決定までの流れ

スクリーニングと診断

日本では住民検診や人間ドックでのPSA検査が主なきっかけとなりますが、アメリカではかかりつけの家庭医に相談して検査を受けるのが一般的です。確定診断のための針生検は両国とも主に泌尿器科医が、画像診断の読影は放射線診断医が行うという点は共通しています。

治療方針の決定

日本: 泌尿器科医、あるいは泌尿器科内での議論で決定されることが多いのが現状です。

アメリカ: 泌尿器科医、放射線診断医・治療医、病理医、腫瘍内科医、看護師らが集まる「キャンサーボード」という検討会で、多角的な議論に基づき推奨される治療法が決定されます。

 

2. 治療過程における役割分担の違い

手術に関しては、日米ともに泌尿器科医が執刀します。しかし、その他の領域では大きな違いが見られます。

放射線治療: どちらも放射線治療医が担当しますが、日本では放射線治療医の絶対数が少ないという課題があります。

薬物療法: 日本ではホルモン療法や抗がん剤治療のほとんどを泌尿器科医が行いますが、アメリカでは「腫瘍内科医」という専門医が主に担当します。

緩和ケア: 日本では最期まで泌尿器科医が診ることが多い一方、アメリカでは積極的治療が終了すると緩和ケア医に主治医が交代することが一般的です。

3. 診療科別医師数の日米比較(統計)

日米の人口比が約1対2.5であることを考慮すると、専門医の数に顕著な差があります。

泌尿器科医: 日本は約8,449人、アメリカは約7,483人(2017年)と、人口比で見れば日本の方が圧倒的に手厚い状況です。

腫瘍内科医: アメリカの約9,000人に対し、日本の専門医は874人(2013年)と極めて少なく、がん専門の腫瘍内科医に限れば日本全国で10人にも満たないと推測されています。

放射線治療医: 日本(1,019人)に対しアメリカ(4,236人)と、アメリカの方が充実しています。

4. それぞれの体制における長所と短所

日本型:泌尿器科医による一貫した診療
長所: 一人の医師が診断から看取りまで担当することで、患者や家族との信頼関係が強まり、安心感につながります。

短所: 泌尿器科医が得意とする「手術療法」を勧める傾向に偏る可能性があります。

アメリカ型:各専門医による分業制
長所: それぞれの専門家が豊富な経験に基づいて、より専門性の高い治療を施すことが可能です。

短所: 次々に主治医が代わるため、患者が「ベルトコンベアに乗せられた」ような不安を感じる場合があります。

結論

日米の診療体制の違いは、医師数の偏りだけでなく、国民の文化的背景も反映されています。大切なのは、こうした体制の違いによる一長一短を理解したうえで、主治医と良好な信頼関係を築いて治療を進めていくことです。

「大切なのは、どちらの制度が良いかではなく、自分の主治医としっかり対話すること。制度の違いを知ることは、後悔しない治療への第一歩です。」

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